【感想】月と6ペンス

月と6ペンスを読んだ。

 

好きになった作家は全て読みたくなる派です。

 

私が学部時代にハマっていたのは、フォースターとオスカー・ワイルドでした。全く雰囲気が違う作家ですね。

 

ハワーズ・エンド (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-7)

ハワーズ・エンド (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-7)

 

 

 

ドリアン・グレイの肖像 (光文社古典新訳文庫)

ドリアン・グレイの肖像 (光文社古典新訳文庫)

 

 

 

イギリス文学専攻だったから、サマセット・モームのことはもちろん知っていたけれど、なんとなく名前の響きが嫌いで、読んだことがありませんでした。

 

しかし今回、なんとなく本屋に置いてあった月と6ペンスを手にとってみました。

理由はありません。

そしてその『何となく』の選択が当たりだったという事を読了後に実感するのでした。

 

 

 

※以下ネタバレ

 

 

大筋はググっていただくとして、やはりストリックランドの言い難い魅力は、この作品最大の見どころでしょう。

ストリックランドというか、ストリックランドの絵に対する執着心とでもいいますか。

 

なかなか、私達はしたいと思っても、〇〇があるから、もう歳だから、そんな理由で諦めてしまうんですよね。

 

でもストリックランドには、描くしかないんです。選択肢なんて何にもなく、ただただ書き続けるだけ。

 

人としては最悪だと思います。

 

奥さん捨てて、他人の親切にも無頓着で終いには助けてくれた人の人生までも滅茶苦茶にしてしまう。

 

けれども、描かなくてはいけないんだ、というひたすらに無邪気な想い、その想いに突き動かされて彼はひたすら書き続けるだけ。

そして最後、目が見えなくなって、姿形が変わってしまった後も書き続け、最後の最後、それは燃やしてしまう。

 

何という粋な生き方だろうか。

 

読んだ後に何とも言えないさっぱりとした読了感を味わうことができる作品でした。

 

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